大地震が発生すると、その後余震などが発生した場合に建物が倒壊、もしくは外壁・窓ガラスが落下しないかなど、危険性を判定して二次的災害を防ぐ必要があります。
よく耳にする「全壊」「半壊」「大規模半壊」といった形での区分は、どのような基準で判定されるのでしょう。
まず建物に対して実施される応急危険度判定とは?
応急危険度判定員が行う応急危険度判定は、建物の危険性を判定して人命に関わる二次的災害を防止する目的で実施されます。
判定した結果は、居住者だけでなくその付近を通行する人にもわかりやすいように建物の見やすい場所に表示されます。「緑(調査済・安全)」「黄色(要注意)」「危険(赤色)」の3種類のステッカーが貼られますので、一目でわかるように情報提供がされます。
建築の専門家がそれぞれの建物を直接見て判定しますので、被災した後の建物に対して不安を抱く被災者の精神面の安定に繋がります。
・応急危険度判定士とは?
民間の建築士等のうち、ボランティアとして協力している人たちが講習を受けることによって都道府県に養成・登録されています。
災害の被害認定基準による判定とは?
内閣府の定めている「災害の被害認定基準」等に基づく被災した住宅について、全壊、半壊等の被害の程度が認定されます。
この被害認定調査は国で標準的な調査方法が定められているのですが、研修を受けた市町村の職員などが調査員として、2人以上のグループとなり被災した住宅の傾斜、屋根、壁等の損傷について調査を実施します。
「全壊」「大規模半壊」「半壊」の基準
被害の程度は国で定められた基準によって判定します。
住宅の屋根や壁等、経済的被害が全体に占める割合に基づいた認定となりますが、一般的な判定として「全壊」「大規模半壊」「半壊」「半壊に至らない」の4区分に分かれます。
・全壊…甚だしい損壊状態で、補修しても再び使用することが難しいと判断される住宅のうち、損害割合50%以上の住宅が該当します。
・大規模半壊…半壊している状態で、柱等の補修を含んだ大規模補修を行わなければ住宅として使用することが難しいと判断される住宅のうち、損害割合40%以上50%未満の住宅が該当します。
・半壊…甚だしい損壊状況であるものの、補修すれば元の住宅として再び使用することが可能だと判断されるもので、損害割合20%以上40%未満の住宅が該当します。
どの区分に判定されるかで保険金が決定する
地震で住宅が被災した場合には、先に述べたようにその被害の大きさでそれぞれの区分に分類されます。地震保険による保険金の支払いにも関係しますので、どの区分に判定されるかは重要です。
また、応急危険度判定を受けた建物で黄色や赤のステッカーが貼られた建物は倒壊の危険があります。地震が発生した時にこのステッカーが貼られている建物には近づかないようにしましょう。