地震・噴火・津波等での損害に対する補償は地震保険で備える必要があります。居住部分のある建物、そしてそこに収容される家財道具に対して加入することができます。大地震が起きた場合、巨額の保険金が発生することになるため政府も支援するという形になっていますが、実際に大地震が起きればかなり大きな火災損害が発生します。そのため地震保険に関する法律に基づいて、政府と保険会社が共同運営を行うといった、他の保険とは違った公共性の高い特徴ある保険になっています。
地震保険にはどのくらいの世帯が加入している?
必ず火災保険とセットで契約する必要がありますので、単独で加入することはできません。そして地震保険の保険金額の上限は、火災保険の30~50%の範囲で、さらに建物5,000万円、家財1,000万円が限度となります。そのように様々な縛りがある地震保険ですが、それでも世帯加入率は東日本大震災後増加傾向にあり、2015年の全国平均は29.5%でした。
地震保険は2017年から改定された
その地震保険は2017年1月の新規契約分から大幅に改定が行われました。その中で注目したいのは保険料の値上げで、全国平均5.1%引き上げとなっており、今後も段階的に全国平均19%まで引き上げになる見込みです。保険金が支払われる認定基準となる損害区分にも変更がありました。これまでは、設定していた地震保険の保険金を全額受け取ることができる「全損」、50%の「半損」、5%の「一部損」という3区分でした。それが半損の損害区分が「大半損(60%)」と「小半損(30%)」へと細分化されて、全部で4区分になりました。
損害区分が細分化されると…
地震へのリスクが高まったことで保険料は高くなり、区分が細分化されたことで今までなら50%支払われていた損害でも小半損と認定されれば50%から30%に減額されることになります。
保険金の支払限度額は引き上げされた
総支払限度額は11.3兆円に引き上げになっていますが、総支払限度額とは巨額の保険金の支払いが生じる可能性のある地震保険について、保険金の支払責任の一部は政府が負っています。東日本大震災に伴う保険金支払いで民間危険準備金が少なくなり、一方で地震保険契約は増加しています。これによって予想最大損害額は増え、官民責任額分担は2016年4月に改定されました。政府の責任額約4.8兆円だったものが約5.7兆円へと増額され、民間責任額が約0.7兆円から約0.5兆円へと少なくなっています。
それでも保険金減額される可能性は否定できない
しかし政府も無限に責任を負うことはできませんので、1回の地震に対する保険金支払限度額を定めています。支払限度額は関東大震災級の地震が発生した場合、支払保険金総額がこの額を超えないような設定がされていて適時見直しが行われています。ただしこの額を超えた場合には、保険金の削減ということも可能性はありますので理解しておきましょう。