地震保険制度は2017年1月に改定され、地震保険料率の見直しが行われました。地域や住宅構造によって保険料は異なりますが、多くの地域で保険料は高くなりました。その中でも上昇率が大きく14%以上保険料が高くなるのは、埼玉県のマンション、福島県の木造住宅、茨城県・徳島県・高知県のマンションです。ただし保険料が高くなるといっても、最大に高くなる埼玉県のマンションで500万円の地震保険に加入したと考えて、保険料は年7,800円程度です。1981年以降築のマンションであれば年7,000円、免震構造なら年3,900円まで保険料を抑えることができます。
保険料が安くなる地域もある
もともと地震保険料が高めだった地域には、愛知県、三重県、和歌山県などがありますが、この地域などはマンションと木造どちらの保険料も10%を超えた引き下げとなり、特にマンションの引き下げ率は15.3%となっています。日本は今後、南海トラフ地震による被害が懸念されていますが、全ての地域で保険料が値上げされるというわけではありません。
分譲マンションでも地震保険は必要
もしも分譲マンションが被災してしまうと多額の修繕費が必要ですので、修繕費が不足してしまい追加負担を強いられるという可能性もあります。そのような状況になれば、修繕に向けた合意まで至らないということも考えられますので、地震保険で備えておくことが修繕資金確保の手段とも考えられます。そのため分譲マンションの場合には、専有部分だけでなく共用部分にも地震保険での備えが必要です。
地震保険の損害区分の見直しとは?
地震保険の改定により、保険金を決める損害区分も見直しになりました。損害認定の区分は細分化され、当初は「全損」「半損」「一部損」の3区分だったもののうち、「半損」を2つに分割して「大半損」と「小半損」に分け4区分となっています。基礎や柱、壁や屋根など、主要構造部分の損害程度に応じて、全損なら保険金額の100%、大半損なら60%、小半損は30%、一部損なら5%が支払われます。
同じ水準の被害で保険金が異なることも
4区分が適用となるのは、2017年1月以降に保険適用開始となる契約ですので、2016年12月末までに契約した地震保険の場合にはこれまで通りの3区分です。そのため地震が起きて同じ水準での被害があったとしても、それぞれ契約している地震保険の保険開始時期が異なることで受取ることができる保険金が変わる可能性があります。
生計を建て直す支えとして加入の検討を
地震保険は火災保険と違って、地震・噴火・津波での実損額が支払われるということではなく、区分ごとに定められた保険金が支払われます。どの損害区分で認定されるかによって保険金に差が出ますので、被災した人からすれば満足できる補償ではないかもしれません。だからといって不要な保険ということではなく、生活を立て直すための大きな支えとなることは間違いありません。まだ地震保険に加入していない場合には、検討することが大切です。