大地震などの天災が起きた場合、発生する被害は広範囲に及びます。震源地だけでなく、その他の地域でも家の倒壊や屋根の崩れなど様々な損害が発生します。どのくらいの損害が発生したかを迅速に調査して支払いができるように、地震保険については独自の損害認定基準が設けられています。
地震保険の損害認定
地震保険の場合には、建物や家財が受けた損害に応じて全損、半損、一部損の3つの段階に分類されます。損害区分は損害調査から保険金支払いまでがスムーズになりますが、それぞれの段階の差が大きすぎるという部分がデメリットでした。そのため2017年には、3段階から4段階に変更されます。
建物の認定方法
建物は屋根や外壁、基礎部分など主要構造部の被害状況によって損害区分が決定します。主要構造部の認定は、木造か鉄筋コンクリートか、さらには鉄骨造なのかという建物の造りで認定方法が変わってきます。全損の場合には建物の地震保険金額の100%、半損なら50%、一部損は5%が支払われます。
家財の損害認定
家財の損害認定は、所有されていると考えられる品目の被害状況から認定していきます。明らかに被害があっても、電気器具や家具類、身回品など5分類の代表品目に含まれなければ損害割合は変動しません。建物同様に全損、半損、一部損の3つに分類され、保険金額の割合も建物と同じです。
・補償されない家財
通貨、預貯金通帳、有価証券、印紙、切手 、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属や骨董品など、自動車、商品、事務備品、営業用什器、稿本、図案、設計書、帳簿、証書などは地震保険の補償の対象から外れます。1個または1組の価額が30万円を超える貴金属などについては、火災保険の場合は明記物件として申告しておけば補償の対象にできました。しかし地震保険は明記物件がありませんので、贅沢品は一切補償を受けられませんし、商品や事務備品など日常生活に関係ないものも保険の適用外です。
被災により保険契約の手がかりがなくなっても大丈夫
地震保険は、地震や噴火、これらによる津波で建物や家財などが損害を被った場合に保険金が支払われる保険です。保険金の請求については契約している保険会社へ問い合わせることになりますが、災害救助法が適用された地域で家屋などが消失してしまい保険契約の手掛かりがなくなった場合には、一般社団法人日本損害保険協会に設置された「自然災害損保契約照会センター」で照会することが可能です。
加入しているなら適切な補償を
地震保険は有事の際には調査が速やかに行われるようになっています。申請すると保険料が上がってしまうのではという心配はありません。被害に遭った場合などは早めに専門の調査業者に依頼するようにしましょう。