金融の仕組みには、貸借取引がベースになっているものと、投資や証券化といった市場機能を活用するもの、そして大勢の人から集めた資金を利用し被害に遭った人などを救済する相互扶助の仕組みを取り入れた「保険」と言われるものがあります。
多くの人に活用されている「保険」
保険は、同じリスクを抱える人たちがみんなでお金を出し合い、その事態に直面した人を救済してリスクを分け合うというものです。ただリスクを回避するものではなく、最近では老後の資金準備や事業活動に伴って発生するリスクを回避するための取り組み、さらには事故や災害が発生した時の生産活動維持への備えとして活用されています。
生きていく上で発生するリスクとは?
先進諸国で保険会社が提供する安心については、生活や事業・産業を継続する上で欠かすことができないものになっています。生活の中で起こるリスクには、自然災害、事故、病気、死亡など色々ありますが、産業分野でも、製造、販売、輸送など様々な部分で災害や事故、賠償責任に至るリスクが存在しています。
保険ビジネスの3種類の領域
保険ビジネスは法律で3種類の分野に分けられています。
・第一分野
人の生死に関して一定額を支払う保険で生命保険会社が担う領域です。
・第二分野
一定の偶然の事故で発生することのある損害をてん補するための保険で損害保険会社が担います。
・第三分野
疾病や傷害、介護などで一定額を支払い費用のてん補を行う保険です。生命保険と損害保険の中間にある保険として位置づけられていますので、生命保険会社と損害保険会社が保険商品を販売できる分野です。
生命保険と損害保険の異なる部分
生命保険と損害保険の違いは対象になる領域が異なるというだけではありません。一番の大きな違いは、生命保険は契約時に約束した金額を給付する定額給付の保険なのに対して、損害保険は災害や事故で被った損害分を補償する実損てん補の保険であることです。さらに生命保険は10~20年、終身的にと長期に渡って契約するものですが、損害保険は長くても10年、多くは1年ごとに更新という形になっています。
機関投資家である生命保険会社
生命保険会社は保険料として預かった資金を長期運用します。生命保険の契約年数は一般的にも数十年に及ぶことがほとんどのため、集まる資金は莫大なものとなり多額の資産総額になっています。このような資金は、国債、国内外の債券や株式、貸付などに運用されています。莫大な資金を運用する生命保険会社は、国内外市場において巨大な機関投資家だと言えるでしょう。さらには株主として企業活動を監視するといった役割にも期待が高まりつつあります。