阪神・淡路大震災が発生した時に倒壊した住宅は数多くあったことから、住宅の耐震補強に対して多くの見直しが行われてきています。さらに東日本大震災の影響や、今後南海トラフ地震などの発生が予想されることから、耐震について関心は高まる一方です。
地震で倒壊した家の特徴
今後地震が発生した時に自宅が倒壊してしまわないようにするには、過去に起きた地震の際に倒壊した家の特徴を理解しておくことが大切です。実は倒壊した家にはいくつかの共通項が存在しています。地震で倒壊したという事実は同じでも、家の崩れ方は様々です。崩れ方によって考えられる原因も異なってきます。
・建物の1階部分だけが崩れたケース
比較的新しい家に多く見られ、崩れた1階部分の上に2階が落ちてくるという崩れ方が特徴です。考えられる原因は、強い直下型地震で柱抜けしたことや、壁配置のバランスが悪くねじれ現象が起きたことです。
・1、2階とも崩れたケース
比較的古い家に多く見られ、1、2階とも崩れた原因は建築法が古かったこと、そして築年数で建物に使用している木材が老朽化したことが考えられます。
・布基礎と土台にずれができたケース
基礎部分である布基礎は、枠と底面が一体化した安定が保てる形になっていることから耐震性が強いと言われています。この基礎部分と土台が完全に離れてしまいズレが出てしまう原因は、強い直下型地震によって住宅が飛び上がってしまうこと、そしてその時に地盤との間にねじれが生じたことが考えられます。
新しい家でも倒壊する?
地震が起きると新しい家でも倒壊することがあり、これによって耐震においての構造的な問題があることの証明になりました。たとえ新しくても倒壊してしまう家には次のような特徴があります。
・壁が少ない家
間仕切り壁の量が比較的少なくいデザイン重視の住宅は、屋根と柱を支える壁が少なく住宅への力が分散できないことで倒壊しやすいと言えます。日本の在来住宅という柱と梁で支える建築法は、横に揺れる衝撃に弱いという特徴があります。横からの衝撃を面で抵抗するために、耐力壁を多く設置する必要があるでしょう。昭和56年以前の家で多く被害が発生するのは、建物の老朽化以外に耐力壁の不足が考えられます。
・デザイン優先の家
壁の配置バランスは地震による倒壊を防ぐ上で重要ですが、壁量が十分でも配置のバランスが悪いと地震に耐えることはできません。車庫が1階に設けられていたり、空間をつくるために壁を無理にずらした間取りになっていたりすれば、その部分を中心として倒壊してしまいます。
地震で倒壊しない家は存在しない
家が倒壊してしまう根本的な原因を理解することは、耐震という部分でとても重要です。しかし絶対に倒壊しない家というものは存在しませんので、万が一地震が発生した時のための備えとして地震保険などに加入することを検討することは大切なことです。