2016年4月に起きた熊本地震によって住家は多大な被害を受けました。被害の調査によって発行される罹災証明書は、1次調査と2次調査での判定が異なっている場合もありこの対応について住民から戸惑いの声が上がっています。
この地震によって100世帯以上の住家に被害が及んだ熊本県内23自治体のうち、16自治体は1次と2次の調査のうち重い方を採用するとしていますが、5市町村は2次の判定を採用するとし、残った2自治体は方針を決めていないなど自治体によって対応がわかれました。
被害判定の基準
災害対策基本法に基づいて、地震、水害、竜巻など大規模な災害が発生した際には市町村が主体となって調査を実施します。担当するのは研修を受けた市町村職員などで、居住のための基本的機能を喪失した場合には全壊、大規模な補修を行わなければ居住ができない状態は大規模半壊、延べ床面積の2~7割が損壊し補修すれば使える場合は半壊、半壊を下回る場合は一部損壊と判定されます。調査は2次までで、3次調査は行われません。
1次調査と2次調査について
住家の被害調査は自治体の職員が行い、その被害のレベルによって「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」の4区分に判定して罹災証明書が発行されます。1次調査では外観の目視を行い、被災した人が再度調査の申し立てた場合に屋内の床や内壁を確認する2次調査が実施されます。
1次と2次で判定が異なる場合
その1次と2次で判定が違っていた場合に重い判定を採用する回答したのは熊本市や益城町などの16自治体です。被災した人が有利になるように、そして被害者救済に努めるためにという思いからの判断のようです。2次調査の判定を優先すると回答したのは大津町などの5市町村ですが、2次調査の方が詳細という理由でした。しかし判定を上げたいためだけに2次調査を申し立てられた場合、作業に手間取ることで復興を遅らせることにもなるため絞り込みを図ることを希望する行政の思惑もにじんでいます。
判定によって支援額が変わる
判定によって受けることができる公的支援は変わり、全壊は最大300万円、大規模半壊250万円の被災者生活再建支援金が支払われますが、半壊や一部損壊の場合は原則支給がされません。被害のレベルが重ければ税金や医療費も免除や減免という場合もあるため、この判定が生活を左右するといっても過言ではないでしょう。
2次で一部損壊と判定されたら…
1次調査で半壊と判定され、2次調査を受けるかどうか悩む人もいたようです。大津町などは2次調査の判定が優先されるため、持ち主が大規模半壊ではないかと思っていても一部損壊と判定された場合困るので申請するかを決めかねるという状況も起こりました。本来は厳密に調査を実施された2次を優先すべきかもしれませんが、1次と2次で判定にばらつきが出るのは調査が粗いこと原因のため専門家の養成を急ぐ必要があるでしょう。
調査結果が納得できない場合
一部損壊と全壊では支払われる保険金や支援が大きく違うため、被災者にとっては死活問題になりかねません。ただし1次調査で納得ができないという場合には2次調査までより詳細に確認が行われますが、自治体によって1次と2次の判定結果が異なる場合の対応が違うため事前に確認をするなど注意が必要です。