災害対策基本法は国土、国民の生命・身体・財産を災害から保護することが目的で昭和36年に制定されました。
そのきっかけとなったのは昭和34年に発生した伊勢湾台風で、この台風では犠牲者5,098人、負傷者38,921人という被害をもたらしました。
災害対策基本法が制定される前にも、国庫から地方の災害復旧事業費が負担できるようにする法律がありましたが措置内容に不公平さが生じたり、制定に時間がかかったり不透明さという面で問題がありました。
そのため災害関係の法律は残しながら調整して災害対策基本法が制定されましたが、東日本大震災の広域災害は想定をはるかに超えるものとなり、さらに大幅な改正が実施されています。
災害対策基本法の規定
災害対策基本法の条文には国、都道府県、市町村、そして住民等の責務が記載されています。
特定の職業や商業活動だけが対象というわけでなく、適用対象が広いという特徴のある法律です。
・防災に関する組織、責務の明確化
・防災計画
・防災対策の推進
・財政金融措置
・災害緊急事態
災害対策基本法に基づいた対策の例
例えば各自治体で避難所や避難場所を指定する際に策定される地域防災計画も災害対策基本法が基準となっています。
指定緊急避難場所とは、津波・洪水などで危険な状況の際に住民などが緊急的に避難できる先で、住民など安全を確保することが目的になっています。
指定避難所は災害により避難した住民などに対して危険性がなくなるまで、必要な期間滞在させること、もしくは災害で自宅に戻れない住民などを一時的に滞在させることが目的です。
東京を例に挙げると、震災発生時には第一次交通規制と第二次交通規制が実施されます。
第一次交通規制は道路交通法に基づいて実施されており、人命の救助・救出、そして迅速な消火活動のための規制です。
次に第二次交通規制が実施されますが、こちらは復旧作業が円滑に行われるためのものです。
国民保護法との違い
災害対策基本法は国土、国民の命や財産を守るための法律ですが、実際に被災した場合には地域社会の取り組みや個人の努力ではどうにもならないことも多いですが日頃から防災に努める必要があります。
国民の命や身体・財産を守る法律には国民保護法などもありますが、その対象となるものは他国からの武力攻撃・侵略などによるものです。
災害対策基本法は対象が災害なので守備範囲が明確に分かれています。
災害対策基本法は国民の生命や財産を守るための法律
防災に関して国や地方公共団体、その他の公共機関で必要な体制を確立し、責任の所在を明確にしながら防災計画を作成・予防・応急対策・復旧・財政金融措置など必要になる災害対策の基本を定めています。
近年地震などの災害が多発しており東日本大震災の経験から平成25年には改正もされています。