賠償金とはいつ発生するのか
交通事故に遭ってしまった被害者側は、民法709条による損害賠償請求権が発生します。損害賠償請求を受けた加害者となる運転手が契約している自動車保険の保険会社は、加害者運転手に代わって被害者と賠償金の示談交渉をすすめていくことになります。
損害賠償金として請求される内容
賠償される費用はケガなどの治療などに必要な費用であったかどうか、内容や金額が妥当かなどを基準にしています。
①傷害損害金
・治療費
・入院諸雑費
・通院交通費
・休業補償費
・傷害による精神的肉体的苦痛に対する慰謝料
②後遺障害損害金
傷害の治療は終わったけれど、症状が固定された段階で後遺障害が認定されます。寝たきり状態・植物状態などの1級から、局部に痛みが残っている状態の14級まで分類が行われます。
・逸失利益(障害が残ったことで労働能力に影響があり、本来であれば将来発生したはずの収入が減ってしまったことに対してのものです。)
・後遺障害残存に伴う慰謝料
③死亡損害金
不幸にも亡くなってしまった場合に発生します。
・逸失利益(被害者が亡くならなければ将来得ることができたはずの収入額から本人の生活費を差し引いたものです。)
・死亡した本人、遺族に対する慰謝料
・葬儀料
①~③の合計損害金額に、加害者と被害者の過失割合に応じた過失相殺が行われた金額が賠償金になります。
慰謝料算定基準とは
傷害による精神的肉体的苦痛に対する慰謝料の算定には自賠責基準、任意保険基準、裁判基準の3種類の基準があります。
①自賠責基準
自賠責保険が定める算定基準で、被害者を保護するための制度のため過失相殺はありません。ただし被害者側に7割以上の重過失がある場合には減額されます。
②任意基準
自賠責保険は傷害120万円、後遺障害・死亡3,000万円(高次脳機能障害は4,000万円)の限度額になっています。補完するための任意保険があり、保険会社が独自に支払い基準を定めています。
③裁判基準
被害者が保険会社の提示した賠償金に不満を持って裁判を起こした場合に、裁定すると予測される基準です。
保険会社はどの算定基準を提案してくるのか
仮に保険会社が自賠責基準で支払いを行った場合は、自賠責保険の限度内であればその全額は自賠責保険から保険会社に戻されることになります。そのため自賠責基準を適用してくることが多い傾向にあります。しかし実際に入院や手術が必要になった場合、自賠責保険の傷害の限度額120万円は超えてしまう場合も予測されます。超過した分に関しては、保険会社の任意保険で支払うことになり、保険会社の収益に関係してきます。そのため自賠責基準で交渉してくるケースが多いようです。