火災保険や個人賠償保険などに加入していると、保険契約者や被保険者が支出した費用が支払われることがありますが、そのうち「損害防止費用」についてどのような費用が該当するか理解しておきましょう。
事故発生時においての保険契約者や被保険者の義務とは?
まず事故が発生した場合、保険法で保険契約者などは「損害防止義務」や「損害発生の際の通知義務」を遂行する必要があります。
これは事故による損害の発生や拡大の防止に努めることを指し、保険法第13条で規定されています。
保険契約の約款にも損害発生や拡大防止に努めなければならないことや、正当な理由なく損害防止義務に違反すれば、損害額から拡大防止できたと考えられる額の分を差し引かれることが規定されていることが一般的ですので守るようにしましょう。
火災保険においての損害防止費用とは?
火災保険においての損害防止費用は、火災や落雷、破裂・爆発などで損害が発生したことや、損害が拡大することを防止する活動をしたことで支出した費用について実費で支払われます。
消火活動のための消火薬剤などの再取得費用や、消火活動で損傷した物(着用物なども含む)の修理費用や再取得費用、消火活動に緊急投入された人員や器材の費用(損害賠償費用や謝礼は除く)などが該当すると考えられるでしょう。
個人賠償責任保険においての損害防止費用
個人賠償責任保険における損害防止費用とは、被保険者が損害賠償請求をした者に対して負担する法律上の損害賠償金が該当します。こちらも損害発生や拡大防止に必要、もしくは有益な費用であることが必要です。
被保険者や保険契約者が守るべきその他の義務とは?
保険に契約していると、他にも保険会社に対して保険金を請求するにあたり、保険契約者や被保険者などが守らなくてはいけない義務が約款に記載されていることが一般的です。
例えば事故で損害が発生した場合、契約者や被保険者、保険金受取人は、損害発生の事実を遅滞なく保険会社に通知する義務があり、これは保険法第14条および第79条でも規定されています。
また、約款には追加書類の提出や保険会社の調査に対する協力についても規定されていることが一般的です。
契約者や被保険者、保険金受取人が、これらの義務を正当な理由なく怠った場合や守らなかった場合や書類に嘘の記載をした場合には、それによって保険会社が被った損害額分を差し引きすることが一般的には規定されています。
補償を得るには守るべき義務がある
火災保険や賠償保険には、本来の補償金額とは別で様々な費用を補償する保険金がありますが、そのうち損害防止費用は損害の発生や拡大を防止するために生じた費用を補償するものです。
ただし保険契約者や被保険者は、損害発生や拡大防止に努めなくてはならないことを肝に銘じておき行動するようにしましょう。