地震に備えるための保険である地震保険ですが、損害保険料率算出機構が調査した2016年度の地震保険加入率を見ると30.5%となっており、これだけ地震が頻発している中でも約3割の世帯でしか加入されていません。
しかし年度で契約された火災保険契約件数で見た場合には、地震保険が付帯されている件数の割合は年々高くなっており、2016年度は62.1%です。
地震保険は何のためにあるのか
新規で火災保険に加入する人の6割以上の世帯で地震保険を付帯させていることがわかりますが、地震保険への加入を迷う理由として保険料と補償内容が見合わないといった部分が挙げられます。
しかし地震保険は生活再建の支援という意味合いが強く、決して地震で被災した家や家財を再度買い直すためのものではないということを理解しておく必要があるでしょう。
地震保険が補償する対象となるもの
地震保険は地震や噴火、それらによる津波などを原因とする損壊・火災・埋没・流出で保険の対象である家や家財が損害を受けた際に保険金が支払われる保険です。ただし自動車や貴金属・宝石などは地震保険の補償対象にはなりません。
地震保険の特徴として、どの保険会社で加入したとしても補償内容や保険料は同一で、必ず火災保険に付帯する形で契約することが必要です。現在火災保険のみに加入している場合は、地震保険を付帯して契約することもできます。
地震保険の保険金と保険料
地震保険の保険金額は、主契約となる火災保険の30~50%の範囲で、さらに建物は5,000万円、家財は1,000万円までです。仮に建物に対する火災保険の補償が2,000万円であれば、地震保険で得ることができる補償は600~1000万円の範囲となります。
そして地震保険の保険料は住まいのある都道府県がどこなのか、そして建物の構造によって決まります。
太平洋側の地域に行くほど保険料は高くなる傾向が見られ、構造についてはイ構造(鉄骨やコンクリート造など)とロ構造(木造など)に分類されますが、ロ構造のほうが保険料は高くなります。
建築年や耐震性の高さなどに応じた割引制度もありますが、重複して適用されず最も割引率の高い制度が適用されます。
地震保険は実損払いではない
さらに地震保険は建物や家財の損害程度によって保険金の金額が決まります。実際にかかった修理費用などが支払われる訳ではないという点にも注意が必要です。
損害の程度は一部損から全損の4つに区分されますが、一部損であれば時価を限度に保険金額5%、小半損30%、大半損60%、全損で100%が支払われます。
保険金の支払いがいくらかは誰が決める?
実際に地震で被災した場合、損害の程度を判断するのは専門の鑑定士です。自宅を直接訪れ状況を確認し、どの程度被害が出ているかを確認し、保険会社はその報告を基にして保険金の支払いを決定します。
ただし損害の程度が一部損に満たない場合や、門・塀・垣だけに損害が生じている場合、地震等発生日の翌日から10日を経過した後の損害、地震等での紛失・盗難による損害については保険金が支払われません。
地震で損害があった場合は保険会社に相談を
地震保険は契約によって定められた保険金額を上限に支払う実損払いではなく、損害の程度に応じて保険金が支払われます。
そのためいくら保険金が支払われるかは、鑑定士による区分と保険会社の判断次第ということになります。
また、保険金が支払われないケースもあるので注意が必要ですが、実際に地震発生から数か月後に報告して保険金が支払われたケースもあるので、まずは相談してみることも必要です。