借家人賠償責任保険は賃貸物件で加入する火災保険の特約ですが、家や部屋を借りる時に契約した火災保険に付帯されていたという経験がある人もいるかもしれません。
賃貸マンションやアパートなどを借りる際には、自分の家財に対して火災保険に加入しますので特約まで付帯させる必要があるのかと思う人もいるでしょう。
しかし借家人賠償責任保険はその補償内容が特殊なもので、まず自分が賃貸している部屋や家で火災が起きた場合などの法律上の賠償責任が関係します。
失火した場合の責任はある?
賃貸でも持ち家でも、自分が火元での火災による類焼火災について法律上の責任は負いません。これは失火責任法(失火法)で規定されているからですが、反対に類焼火災で被害に遭った場合も隣室や隣家に責任を求めることはできないことも理解しておきましょう。
自分が火元でも隣室や隣家に対して責任を負うことはなくても、借りている部屋や家を家主に元通りに戻して返す義務は残ります。もし返せなくなった場合には、民法の規定によって家主に対する債務不履行責任が発生します。
このような事態に対処するための保険が借家人賠償責任保険です。
借家人賠償責任保険とは?
借家人賠償責任保険は賃貸している住宅などが火災や破壊・爆発事故などで生じた損害の法律上の賠償責任に対する補償を行います。
賃貸住宅は通常賃貸借契約が2年間になっていることが多いので。保険期間も2年間で契約することが一般的です。
保険金額に比例して保険料は高くなるので、保険料を見ながらプランを決めるといいでしょう。なお、この保険は単独契約するものではなく、火災保険に特約として付帯して加入することが必要です。
家主の火災保険があれば借家人賠償責任保険は必要ないのでは?
家主も当然建物に対する火災保険に加入していると思われます。仮に自分が火元になって全焼させてしまったとしても、家主が火災保険で修復させれば問題ないのでは?と思うかもしれません。
しかし家主が自分で加入している火災保険を使うからと補償を求めてこないとは限りません。万一加入していなければ損害賠償金を求められることになりますし、その時部屋を借りた側も借家人賠償責任保険に加入していなかったら自己負担で準備するしかなくなります。
もし損害賠償金を請求されたら?
失火による損害賠償額が数千万単位になった場合、その額をはたして自分で準備できるかを考えましょう。
そのようなことから、賃貸住宅を借りる際には借家人賠償責任保険に加入しておくことが必要だと考えられます。
保険は万一の時のために備えて加入するものなので、まずは自身で備えるようにしましょう。加入しなくても家主の保険があるかもしれないから大丈夫と考えるのは危険です。