交通事故が起きても事故相手が自動車保険の任意保険に加入していれば、ケガの治療費や車の修理費などの賠償金は過失割合に応じて相手の自動車保険からも負担されます。しかしどの車でも任意保険に加入しているわけではありません。
実際の任意保険への加入率は?
2016年度の損害保険料算出機構の調査から自動車保険(共済含む)への加入率を見てみると、対人賠償と対物賠償の加入率は87.9%、搭乗者傷害39.8%、車両保険50.2%、人身傷害76.6%となっています。
このデータから見ると、車を保有している人の車の9割近い車が任意保険に加入していることになります。
反対に1割強の車は無保険状態で走っていることになりますので、事故相手が無保険車になる可能性も否定できません。
自動車保険の無保険者と事故を起こした場合の補償は?
交通事故に巻き込まれる形でケガを負ってしまった場合には、加害者となる車が任意保険に加入していなければケガの治療費はどうなるのでしょう。
この場合の治療費や慰謝料などについては、自分が自動車保険の「人身傷害」や「無保険車傷害保険」に加入している場合には補償されます。ただし、事故の状況によってどの保険から補償されるのか異なるケースもありますし、補償されないケースもあります。
・人身傷害保険
相手に治療費や慰謝料などの支払い余力がない場合には十分な補償を得ることができない可能性があります。また、実際に支払われるまで時間がかかるケースもあるでしょう。
その場合に自分の加入している人身傷害保険から、相手が支払うべき損害額が保険金額を上限に支払われます。
・無保険車傷害保険
人身傷害保険に加入していない場合に自動的に付帯されることが一般的な保険で、契約した車に搭乗中の時のみ補償されます。
ただし無保険車傷害保険は死亡や後遺障害が生じた場合のみに保険金が支払われます。さらに自分にも過失がある場合の過失割合分の保険金は支払われません。
人身傷害保険や無保険車傷害保険を使った場合の等級は?
どちらの保険から補償を請求したとしても次年度の等級に影響はありません。なお、人身傷害保険と無保険車傷害保険のどちらでも補償対象にならない場合には、相手が加入している自賠責保険から保険金が支払われます。
ただし自賠責保険の保険金額の限度額は、1人につきケガが120万円、死亡3,000万円、重度の後遺障害4,000万円になっていますので、これを超過する分については相手に対して直接請求する必要があります。
無保険の車に追突されて車が壊れた場合
追突事故を起こした車が任意保険に加入していない場合の自分の車の修理代ですが、自分が車両保険に加入している場合には一般型やエコノミー型等関係なく相手に代わって保険金が支払われます。
ただし注意したいのは、車両保険から保険金を請求すると次年度の等級が3等級下がるという点です。車両保険に加入していなければ直接相手に修理代を請求することになるでしょう。
自分の身を守るためにも任意保険への加入を
どれほど注意深く運転していたとしても、自分には落ち度のない事故に巻き込まれる可能性もあります。しかもその相手が無保険だった場合、治療費や修理代などでトラブルになるケースも見られます。
自分の身は自分で守るという意味でも、任意保険には加入しておくことが望ましいでしょう。