例えば地震が発生し、建物に設置しているお店の看板が落ちて停車している車の上に落ちてしまった場合や、通行人に当たってしまった場合、車の傷や通行人のケガに対してお店は損害賠償責任を負うことになるのでしょうか?
天災が理由なら賠償責任は原則なし
地震による天災が理由で落下した看板による車の傷や通行人のケガに対する賠償責任は原則発生しないと考えられます。
自動車の所有者は自分で修理をしなければなりませんし、ケガを負った通行人も自分で治療を受けることになってしまいます。
・万一に備えるためには?
自動車の所有者が加入している車両保険に、地震や噴火、津波に対する車両損害補償特約を付帯している場合や、天災危険担保を付帯した傷害保険に加入している場合には、損害保険から補償を受けることができます。
天災以外で看板が落下した場合は?
では先の例で地震などを原因とせず、看板が落下して車や人に損害を及ぼした場合はどうでしょう。
この場合には建物のオーナー、店舗の経営者、建物の管理会社に賠償責任が発生する可能性があると考えられます。
・対応できる保険は?
この場合、施設使用者(管理者)賠償責任保険などに加入していれば、損害を被った相手に対して補償されます。
事故が偶然や突発的なものかどうかがポイント
ただし損害保険による補償は、偶然や突発的に起きた外来による事故であることが条件です。
もしお店の看板がしっかりと設置されておらず、誰が見ても外れそうで危険な状態でありながらも放置されており、地震などは発生していないけれど落下したという場合は偶然や突発的な事故とは言えません。
事故が予想できた可能性があればそれは偶然の事故ではありませんので、保険に加入していても意味がないということになります。
管理をしっかり行った上で備えることが必要
震災で宙ぶらりんになった看板が、後日落下して通行人にケガを負わせた場合なども同様です。
地震により被害を受けていた看板を安全性が回復できる状態に戻す義務があったのに、それを怠ったことで事故が起きたのであれば損害賠償責任が発生すると言えるでしょう。
所有や使用、管理をしっかりと行った上で事故が起きてしまって初めて保険が役に立つことを忘れないようにしましょう。
自分と賠償責任への備えが必要
近年大きな地震が頻発しており、首都直下型地震や南海トラフなど、様々な巨大地震の発生が懸念されています。
地震による建物の倒壊や津波による被害だけでなく、台風や竜巻、豪雨など様々な自然災害があります。これらの災害に対するリスクはそれぞれが十分に受け止め備えておく必要があるでしょう。
自分に対する補償も当然ですが、万一損害賠償責任を負うことになった時のためにも意識を高めて備えることが必要です。